非暴力教育の必要性と実践 特定非営利活動法人シーン 代表 遠矢 家永子
DVで毎年、何人くらいの女性たちが、夫から殺されているかご存知でしょうか?実は、約130人の女性たちが、夫の暴力によって殺されているのです。また、毎年6,000人近くの子どもたちが少年院に収容されますが、その9割が少年で1割が少女たちです。そして、毎年自殺する人は30,000人を超えますが、その7割が男性で、ホームレスや過労死も圧倒的に男性たちの方が多いのです。なぜ、このように性別による偏りがあるのだと、あなたは思いますか?
子どもの頃からジェンダーによる性別役割において「男は強く、負けないこと」「女は優しく、従順でいること」が期待され、その価値観によって周囲から褒められたり、戒められたりしながら成長していく人がたくさんいます。
もし、「男の強さ」を「力」「支配」であると考えるなら、その延長線上で暴力を肯定したり、「負け組」として社会からはじき出されたりするかもしれません。
もし、「女の優しさ」を「我慢」「自己犠牲」であると考えると、理不尽なことがおこっても、はっきり「NO!」が言えなかったり、そのことで自己否定が生まれたり、弱い立場の子どもたちにその憤りをぶつけてしまうかもしれません。
上記に述べた暴力や抑圧に介入し、支援することに時間をかけることは大切なことですが、それらの問題の連鎖を断ち切り、回避するための子どもたちへの予防教育はとても重要かつ大切な取り組みであると実感しています。
すべての人に人権があります。性別役割に押し込められることなく、あなたはあなたのままでいいのだとその存在そのものを育ちの中で受容された子どもは、あるがままの他者への受容と信頼する力を育み、他者の人権を侵害することはしないでしょう。また、人は一人ひとり違う個性を持っています。その多様な違いを共存させるためには、性別規範ではなく、個の人権尊重を軸とした規範づくりが必要です。SEANが出前授業で実施しているSEA(Self-Empowerment Action)プログラムは、「男は強く、女は優しく」といった性別規範で男女間の主従関係を生み出すのではなく、「自他を尊重する、人としての強さ優しさ」による対等な関係を育てていく非暴力教育です。
「僕はこれまで『強さ』を勘違いしていました」これは、SEAプログラムを受けた中学1年生男子の感想です。「自分の思ったことをためていたらイライラする気持ちになるから、自分の気持ちははっきり言いたいです」これは小学校4年生女子の感想です。知ること、自分で考えることから、「人としての強さ優しさ」を身につけ、多様な個が非暴力に共存できるよう、子どもたちの内なる力にこれからも働きかけていきたいと思っています。プログラムに関するお申込み、お問合せはstation@npo-sean.org TEL/FAX072-684-8584 http://www.npo-sean.org