「過激な性教育」つぶしの裏で…(no.105)
3月4日の衆議院予算委員会において、山谷えり子議員のジェンダーフリー教育や性教育に
対する批判に対し、男女共同参画社会推進本部長である小泉首相自らが「性教育に行き過ぎがある」
と答弁しました。その際、吹田市における性教育資料が国会で回覧され、小泉首相が「これはひどい」と
言明したそうです。
その吹田市における性教育の内容と一連の流れについての報告会が、2月に大阪教育合同労働組合
吹田支部によって開催され、私はそこに参加していました。
頂いた資料の中に「吹田の公教育を考える市民の会」が配布したビラのコピーがあり、
「お父さん、お母さん どう思います…授業中に狂気映画上映」と記されていました。
「狂気映画」とは、どうやら「自然分娩」と「帝王切開」の出産シーンのことで、そのフイルムは
この一連の攻撃の中で一旦没収され、持ち主である先生の許可なく、「自然分娩」の部分のみ
切り取られて返却されたとのことでした。
自宅で普通に自然分娩していた時代には、こんな大騒ぎにはならなかったんだろうなっと思うと、
少し滑稽さを感じました。
また、使用期限切れのコンドームが入手できたことから、中学2年生の授業で生徒たちに配付し、
実際に触らせた後で回収したということです。その攻撃ビラには「コンドームさえ使用すれば
『安全』などと誤解したり、単に性的興味をあおったり、性行為の奨励になったり百害あって一利なし」
と書かれていました。
報告会では生徒たちの感想も回覧され、その感想には確かに「映像を観て気持ち悪くなった」
という表現はありましたが、押しなべて「命の大切さを教えてくれる、大切な授業だった」と感謝の言葉が
記されており、真剣に命の尊さを説こうとした先生の思いが、充分に伝わっていると実感できる
内容のものばかりでした。
国会でまかり通っている性教育への攻撃は、「性感染症の蔓延は行き過ぎた性教育が原因」という
主張からです。 では、子どもたちをとりまく「性」に関する現状はどうでしょうか?
2004年度、文部科学省家庭教育支援総合推進事業の1つとして「わが町にしなり子育てネット」が
「中高生のからだ・心・性についてのアンケート調査」を実施しています。
中学校6校、高等学校3校で実施されたその調査によると、「性」の情報は「雑誌」「週刊誌」「漫画」で
あり、「授業」や「教科書・辞典」など正しい情報を得ている子どもは全体の25%で、その他75%の
子どもたちが不確かな情報の得かたをしているという実態が浮き彫りになっています。
また、「エッチなメール文や写メールがきた」ことがあると答えた子どもは21%、SEANにも1日
少なくとも2〜3件はアダルトサイトからの迷惑メールが寄せられます。
今取り締まるべきは性教育ではなく、こういった過激なまでの性産業やポルノグラフィ・人身売買で
あるはずです。
日本はまだ「女性や子どもの人身売買禁止協定」にすら批准していないことが、なぜ議論に
ならないのかが不思議でなりません。
「あなたは『性交』したことがありますか?」という質問で、中学生では「いいえ」が93.8%であるのに対し、
高校生では51.5%となり半数近くの子が「性交」を経験しています。しかし、全体の6割が性感染症を
防ぐ方法をわかっていないという結果になっています。
また、別のデータでは、知っていても女性の場合コンドームの使用をパートナーに要求しないと
感染症から身を守れないので、知識がない、要求しない、要求できない15〜24歳の女性のエイズ感染率は
男性の2倍であるという数字があがっています。
「過激な性教育」つぶしの裏で、性産業は拍車がかかり、その中で傷つき被害をこうむるのは
子どもたちです。性教育で正しい知識を得ることは、性行動を抑えることにもつながり、性暴力を
防ぐ手立てになることはもうすでに知られていることです。
大人たちの不勉強さで、これ以上子どもたちを犠牲にしたくないと思います。
2005.3.15 かえこ
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