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   子どもたちの今を通して (no.107)
 
 SEAN G-FReeの出前授業を通して、2004年度は幼児・児童約180名、中学生約660名、
高校生約640名、計1,500名近くの子どもたちと出会ってきました。
 全てにおいてケースバイケースではあるのですが、生徒たちを見ていて、最近気になっている点が
幾つかあります。

 私たちが実施している出前授業は、ワークショップ形式で行います。
ワークショップは、最初から何か答えがあって、その答えを探す学習方法ではなく、提示された情報や
題材をベースに、自らと向き合う中で考え、気づきを自分の中に導き出す学習方法です。
 簡単なロールプレイを観た後、「今、どう感じた?」「あなたならどうする?」と問いかけると、
こんな反応を示す生徒が目に付きます。

@気持ちなど聞かれたことがないから、自分の感情が把握できない
A他の友だちがどう考え、自分の考えをどんなふうに思うか、やたらまわりの顔色を見て発言できない
B自分の感情や考えに自信がなく、言葉にできない
C正解があると思い、それが何なのかが解らないので、答えられない

 今、学力が低下したと「ゆとり教育」が問題視され、教育内容が大きく様変わりしようとしていますが、
「ゆとり教育」をやめ以前のような「知識偏重詰め込み教育」にもどす事こそが、子どもたちの未来に
とって最善の方法であるという主張には疑問が残ります。

 画一化された「正解」は1つ、その正解を即座に答えられることが良しとされる教育だけに頼るのは
限界があります。
  「感じること」「考えること」と、実際に取る行動は別の次元のことなのに、
「感じること」「考えること」をも否定され、感じていることすら把握できない、あるいは
感じてはいけないことととらえている子ども、あるがままの自分の存在そのものを、受け入れて
もらっていると実感できない子どもたちがたくさんいます。

 まず、あるがままの子どもを受け入れる中で自己肯定感を育み、自分で自分の人生を問い直し、
生き方を選んでいく力を育むことが大事なことだと実感しています。
 子どもと大人は構造的な力関係にあるわけで、子どもの行動を選択していく権利を大人が
保障しなければ、失敗を通して学ぶ機会も奪われ、問題解決能力が育たないといった
問題がおこってしまいます。

 その上で、身近な大人たちの生き方を見ても、ロールモデルとなりうる存在が少なく、
自分の未来に希望を見出せないなども問題となっているのかもしれません。

 人と比べられ、自らも人と比べ、一つの価値観の元、競いあわすような学習方法では、
子どもたちはレッテルを貼られ、子どもの世界にも「勝ち組」と「負け組」が生まれ、
「みんな違って、みんないい」といった、多様な個の人権を尊重する考え方を育むことはできません。

 また、未就学児のプログラムで出会う子どもたちの言動から、いかに男の子たちが「男」としての
プライドを意識付けられていくかといったことも見えてきます。
 「一人前の男」として、女・子どもといった「弱きもの」を守らなければならないというメッセージは、
一見妥当な考えのようにも思えます。
 しかし、「一人前の男」なら強くあるべきだということは、「女・子ども」のような「弱きもの」になって
はならないというメッセージをも含み、その延長線上で女と男の間に力関係が生じます。
 本来なら「強さ」「弱さ」をどう定義するかで、関係性も違ってくる訳で、たとえ「力の強さ」と
定義したとしても、平均値だけでものを見ていたのでは、逆転するケースに偏見が生じてしまいます。

 男の子たちの言動を見聞きすると、「女みたい」「女々しい」と言われることは最大の侮辱のようです。
それは、実際に馬鹿にされたりからかわれたりする中で、生まれる感覚なのかもしれません。
 ですから、侮辱されない為に、「さすが男」と言われる為に頑張らざるを得ないのだと思います。

 特に5・6歳児〜小学校低学年の男の子の言動に、その気負いが見られ、家では「ボク」と言っている
男の子でも、一歩表に出ると「オレ」と言うケースも多く、ぬいぐるみを抱いて毎晩寝ていても、
外では決して公表できない秘密になってしまうようです。

 どんな人物像を目指すのか、それは個人の選択でいいのだと思います。
ただ、人と人との関係で、支配や差別が生じる価値観や言動に関してははっきり「NO」を
主張できるロールモデルとして私たち大人が生きる中で、子どもたちと関わっていきたいと思います。

                    2004.4.16 かえこ


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