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公聴会に参加して(no.110)

 5月25日(水)にドーンセンター(大阪府立女性総合センター)で実施された、
男女共同参画基本計画改定についての公聴会に参加してきました。
 1999年6月に、国は男女共同参画社会基本法を公布・施行し、2000年にはそれをもとに
基本計画を策定しました。2005年の今年はその「中間整理」の年にあたり、公聴会が大阪
を皮切りに5/25:福岡・6/3秋田・6/6:岡山・6/10東京で開催されています。
 中間整理の中で、新たな取組みとしてあげられたのは、1)科学技術、2)防災・災害復興、
3)地域おこし、まちづくり、観光、4)環境の分野における男女共同参画の推進だということでした。

 私は特に科学技術の分野が、立ち遅れているように感じていたので、今回の新たな取組みには
非常に期待をしています。
 公立高校では、2〜3年生になると選択によるクラス分けが行われます。今でも、文科系は
女子生徒が多くを占め、理数系は男子生徒が多くを占めるといった現状があります。
 その現状を、もって生まれた特性と言ってしまえるのかどうかがとても疑問です。
 実際に出会った理数系を選択している女生徒から、「女子が理数系を選ぶと変だと思われる」と
いう話も聴いています。女子が理数系を得意とすると、「変わっている」「もったいない」といった
表現がなされ、女子のその分野での活躍は期待されていないどころか、異端視されているといった
実態もあり、そのことが女子の活躍を伸び悩ませているそもそもの原因のようにも思います。

 さて、公聴会当日のことに少しふれてみたいと思います。内閣府男女共同参画長の名取はにわさんや、
委員として出席されていた古橋源六郎さん、原ひろ子さん、神田道子さんのお話をお聞きすると、
国自体の方向性は間違っていないし結構進んでいるといった印象を受けました。
がしかし、その確かな方向性は、なかなかメディアからも伝わってきておらず、少し残念に思いました。
 当日の参加者には、いわゆるバックラッシュ側と言われるみなさんもそこそこの数お見えで、
ヤジは飛ばすし質問の際も長々と話そうとする方もいて、そのマナーの悪さにとてもいやな
気持ちになりました。後から聞いた話ですが、終了後1階に降りたところで怒鳴っている人もいたようで、
そのどう喝的な態度から「恐怖」を感じた人もいたようです。
 「少子化において、保育所などの待機児童をなくそうとする施策は間違っており、母親が家で子育てを
しっかりできるようにような施策をとるべきだ」
 「ジェンダーなどといういい加減な言葉を使うべきではない」など、バックラッシュ側のご意見は
従来の主張を判を押したように繰り返しているように感じました。
 私がもっとも違和感を感じたことは、「自殺する男性が増えてきており、ジェンダーの問題は
女性だけの問題ではない」との委員の方の発言に、「男性を大切にすればいい!」といった内容の
ヤジがあったことです。そう叫んだ方は、「待機児童をなくそうとする施策は間違ってる」と
主張された方でした。
 彼女のヤジを聞いて、胸がしめつかられるような怒りと悲しみにおおわれました。
彼女は夫や父が自殺して、一生その悲しみを背負っておられる遺族の方の悲しみを
想像したこともないのでしょう。
 大切にしていれば自殺しなかったというような短絡的な話ではなく、遺族のみなさんは自分を
責める気持ちに苦しみながら、これからもずっと生きていかなければいけない訳で、配慮のない
傲慢なヤジが、一面的な見方からの勢いを借りたバックラッシュ側の言動を象徴しているようにも
感じました。

 いわゆるバックラッシュは、男女共同参画基本法や計画ができてからジェンダー・フリーという
言葉がりに始まって勢いづき、今ではジェンダーそのものの言葉狩りと、性教育つぶしと
形をかえてきいています。
 今では「思想狩り」になっていると、断言してもいいのではないかと私は思ったりしています。
 現状の日本は、中高年の男性の自殺、DVや児童虐待、目に余る性暴力などが増加し、
加害行為で捕まる子どもの男女比率が男子9:女子1であることや、性的少数者への差別や偏見など、
性別が大きく関わる形で暴力が生じています。
 それらの問題のすべてが、生物学的性差であるSEXが原因であると私は思っていません。
 また、「男らしさや女らしさ」の規範がなくなってきたから、起こっている問題なのではなく、
それらの「らしさ」を抑圧に変え行き過ぎる中で起こっている問題なのだと私は思います。
 ですから、それらの問題を解決する鍵がジェンダーという言葉に含まれており、
生物学的性差であるSEXとはきっちりと分けるためにも必要な概念だと思うのです。
 「曖昧な言葉だから使わない」ではなく、「社会における課題を解決する為に必要な概念だから
積極的に使う」と、はっきりと施策的にも打ち出して頂きたいと思います。
 自民党の山谷議員を筆頭に、バックラッシュの勢いが増しているようにも感じますが、
どう喝にしばしひるんでいた男女平等推進派である私たちも、少し落ち着きを取り戻し始めているので、
後は信念を貫きつつ、ネットワークを育てていくことなのだと思います。
 来年の総会前のこの時期のコラムを書く頃には、どんな社会背景になっているのか楽しみです、
と今回は肯定的に締めくくっておこうと思います。
                  2005.6.2 かえこ


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