戦後60年を迎えて(no.113)
8月のはじめに、仕事で東京に行く機会があり、8月1日にオープンになったばかりの
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」を訪ねてきました。
早稲田奉仕園の敷地内にある、アバコビルの2階のこじんまりとした静かな空間が
その資料館で、松井やよりさんの遺志を引き継ぎ、凛としてそこに存在していました。
戦時性暴力の被害と加害の資料を集めた日本初の資料館で、日本軍性奴隷制を
裁いた女性国際戦犯法廷の全貌を公開しています。
展示されている様々な国籍の「慰安婦」にされた人たちの、怒りと悲しみの証言の数々を
一つ一つ読み進めるだけで、吐き気と怒りが込み上げてきます。 自分の身に起こったこととして、
あるいは娘たちや友人たちのこととして思いをはせる、ただそれでけでも、持ちこたえられなくなる
事実の数々です。
力関係において相手を支配し、自己の性欲や支配欲のみを満たそうとする性暴力と、
互いに受容し、互いに愛しみ合うセックスとはまったく異質のものです。
戦争における恐怖感をかき消すため、戦闘意欲・闘争本能をかきたてるための仕組みに
公然と送り込まれた兵士たちが、女性国際戦犯法廷で勇気ある証言をされた内容も、
展示物として紹介されています。
どんな理由があるにしせよ、戦争はただただ人を、特に構造的に弱者の位置にいる人々を
支配し、心とからだを破壊し、死に至らしめる行為なのだと実感し、二度と踏み入れてはいけない ことなのだと強く感じました。
また、昨今の暴力ポルノサイトでは、この悲しい女たちの歴史を、あたかもあざ笑うような性暴力が
横行していることに、女性を性の商品とみなし、支配し、からだも心までもを破壊してしまう 性暴力の深刻さと異常さと性懲りのなさを感じます。
それらの現状も把握せず、歴史教科書で歴史的事実を封印し、先の戦争を賛美し、
横行する性の商品化は放置したまま性教育を禁じ、純潔教育と愛国心教育と制度上の
家族役割の強化を行おうとする人たちの勢力が強まっていることに、危機感を感じます。
9月に行われれる選挙の争点は、郵政民営化でも、少子化対策でもなく、これまでの歴史を踏まえ、
この国をこれからどの方向に導き、他国とどのような関係を築いていきたいかを問う選挙で あって欲しいと思ったりしています。
教科書問題も、靖国問題も、ジェンダーフリー教育や性教育バッシングも、様々な問題が
涼しげな顔をして点と点でつながっていることに、私たちはもう少し敏感になる必要が
あるのではないでしょうか。
先に述べた暴力ポルノサイトの現状についての学習会を、SEANでは9月17日(土)13:30〜16:30に
2部「子どもをとりまいているポルノグラフィと性暴力」と題して、ポルノ・買春問題研究会の みなさんをお呼びしてドーンセンターにて開催します。
(以前、このコラムno.93でも、この団体の講座内容についてはご紹介してことがあるので、ご参照下さい)
その日の午前中、1部で実施する講座内容については、次号で紹介したいと思いますので、
次号は遅れない様に配信いたします。 みなさん、もうしばらくお待ち下さい。
2005.8.16 かえこ
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