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    知ろうとしなければ知りえない現実(no.114)

 7月23日・24日、関西Queer Film Festivalが開催されました。
世界中から集められたセクシュアル・マイノリティをテーマとした映画祭で、関西では4年ぶりの開催でした。
 4年前に開催された映画祭にも足を運びましたが、今回も「ビーイング・ノーマル」(Being Normal)と
「ロバート・イーズ」(Southern Comfort)というドキュメンタリー映画を2本観ることができました。

 「ビーイング・ノーマル」は韓国の作品で、IS(インターセックス)のJと、そして監督である
チェ・ヒョンジョンとの人間関係や、互いの心の葛藤をカメラで追った作品でした。
 ヒョンジョンは大学時代にJと共同生活を始めてから約1週間後、「自分は男性器と女性器の両方を
持って生まれた」とJから聞かされます。Jは「女性」として育てられますが、思春期になってから
Jの意思による決定ではなく、「男性」となる手術を受けることになります。
「男性性」と「女性性」の間で揺れ動くJの姿や、性別に押し込めようとするJを取り巻く人々の言動が
心に焼きつきました。
 ちょうど在日コリアンのみなさんが、日本人からも韓国人からも受け入れられにくいという
もどかしさにもどこか似て、他者を強固にカテゴリーで分類し所属を強いてしまうことの
無意味さと、暴力性を感じました。
 ISと言われる人たちは、2000人に1人いると言われていますが、あまりにも封印されてしまっている
現実に愕然とします。

 私が観た2つ目の作品の「ロバート・イーズ」では、女性として生まれ、結婚して2人の息子を育てた後、
男性として生きる道を選んだロバートが、皮肉な事に子宮ガンに侵されます。
それでも、残り少ない日々を最愛のパートナーであるローラと過ごした、亡くなるまでの1年間を
記録した映画です。
 子宮ガンが発覚しても、彼が手術を受ける為に病院に出入りすることを拒否する医者たち。
病気に関する通常の手術よりも、いい加減に扱われる性転換手術。数々の差別や偏見の中で、
それでもロバートは最愛の人たちに囲まれながら自分の人生を全する姿が印象的でした。

 私たちの日常からは、見えてこない、あるいは隠された現実がたくさんあります。
それらは、知ろうとしなければ知りえない現実であり、無自覚のまま人の足を踏んでいる
ことも多々あることを、様々な側面で真摯にとらえられたら世の中がもっと心地よくなるのではないかと
改めて思いました。

 SEAN G-Freeプロジェクトでは、学校で出前授業を行っています。プログラムには、
多様なセクシュアリティに関する内容も含めていますが、子どもたちが着込んでいる偏見の
根深さを毎回実感しています。その現状の中で、ありのままの自分を表現できず息を
潜めている子どもたちは案外たくさん存在するのではないでしょうか。
 誰もの多様なセクシュアリティを尊重しあえるきっかけとなるよう、これからもプログラムの普及に
努めたいと思っています。

 さて、前回でもお知らせしたように、9月3日・4日にはG-Freeワークスタッフ養成講座を実施します。
17日にその一環で実施するスキルアップ講座の1部では「子どもたちの多様なセクシュアリティを考える」
と題して、子どもたちのあるがままのセクシュアリティを私たち大人がどのようにサポートしていけるかを、
多様な立場からディスカッションする予定です。高槻土着型NPOであるSEANにとってはめずらしく、
ドーンセンターを会場に開催いたします。
 前回ご紹介の2部とあわせて、たくさんのみなさんのご参加をお待ちしております。

 話は変わりますが、「郵政民営化」だけが最大の争点であるかのように、報道される中で行われる
選挙ですが、「人権」「平和」が保障されてこそ私たちは存在しうるのだと思います。
「人権」「平和」の視点で政策をうったえる候補者に、私は1票を入れようと思います。
       「雨が降ってもヤリが降っても、とにかく投票に行きましょう!」
                                           2005.9.1 かえこ


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