2005年の終わりに (no.200)
先日、「釜ヶ崎のまち再生フォーラム」事務局長で漫画家でもあるありむら潜さんの案内で、
釜ヶ崎のまち(2万人の日雇い労働者が密集して簡易宿泊所に住んでいる独特のコミュニティとして
知られる地域で、建設仕事の激減で野宿生活も余儀なくされてしまっている人もたくさん
共存しているまち)を歩いてきました。
私は隣接する大阪市生野区で生まれ育ったのですが、これまでこの周辺には足を向けたことが
1度もありませんでした。
小学生の時、図工の時間に遠巻きで通天閣をスケッチしたくらいで、今年の夏、下の娘を連れて
初めて通天閣にのぼり、なぜこのまちを視野に入れずに生きてこれたのかを自問自答しました。
まちを案内していただきながら、ホームレスや野宿生活者の殆んどが男性たちであることから、
男性社会の抱えるジェンダー問題を改めて実感しました。
ありむらさんが著者である「カマやんの野塾/漫画:ホームレス問題入門」(かもがわ出版/2003年
12月発行)に、ジェンダーについての2つのキーワードが掲載されています。
(1)(前略)「男は外で仕事、女は家で家事」というジェンダーが災いとなって、失業した男たち
(会社人間たち)は職場はもちろん、家庭にも地域社会にも居場所が見つからず、路上をさまようこと になるのだ、という指摘もある。
(2)男性が野宿からあがり「自立」をしていくということは、部屋の掃除や自炊、買い物など
こまごました身のまわりのことも自分でやるということを含む。こうしたとき障害になるのは、
男性は生活技術がたいへん未熟な場合が多いという現実だ。これこそ、ジェンダーの影響、
つまり、ツケがまわってくるのだ。路上に突き落とすときもジェンダー、路上から上がるときも ジェンダーが一役買っている。
当日は「飛田」という遊郭跡地にも足を運びました。玄関でストーブと毛布で寒さを忍びながら、
客引きをする女性たちと眼が合わないように気を配りながらまちを歩き、見慣れぬ光景に 戸惑わずにはいられませんでした。
男は「力」を売り、女は「性」を売る。
資本主義社会が生み出すジェンダーの縮図が、このまちにあるような気がして少し息苦しくなりました。
一見危うく見えるこのまちは、実は不思議な秩序で保たれていて、子どもたちの連れ去り事件など
おこらないという話等も聞くと、人が人との関係性の中で生きていくということの原点を考える
きっかけがこのまちにあるのではないかと考えたりもしました。
仕事を求めて釜ヶ崎に集まりホームレスとなる男性たち、生活保護を受けながらこのまちの
住民となる男性たち、そして従来からこのまちに住んでいる住民たちとがともに住み続けていけるまちを
模索し、1999年に「釜ヶ崎のまち再生フォーラム」が創設されました。
要求型ではなく行政には本格支援を要請しつつも、住民主導のコミュニティの中にある
地域資源を再発見し、参加と自治、ネットワークづくりでの自己変革とエンパワメントに基づく
「社会的排除」から「社会再参加」を目指してさまざまな活動が展開されています。
語弊があるかもしれませんが、意外にもこの釜ヶ崎というまちにこれからの市民主導のまちづくりへの
可能性が見出せるのではないかとの思いに至りました。
話は変わりますが、今年のある忘年会で「今年楽しかったことを一言」と促され、何も思い浮かばず、
思い浮かぶことは「憤り」や「腹立ち」ばかりで、「来年の忘年会では、楽しかった事を話せるように
したいと思います。」としか言えませんでした。
2005年の終わりを向かえ、新しい年に思いをはせる時、人生も後半を迎えた今、
「私に何ができるのだろう」と自問自答しているところです。
気負ったところでどうにもならないことは分かってはいますが、できることを具体的に行動に
結び付けていきたいと切に思います。
NPOで活動する中で、社会変革への思いと組織経営の間で揺れ動く事もしばしですが、
みなさんとの出会いや共感、ネットワークに支えられながら2006年も活動を続けていきたいと
思っています。
次年度も引き続き、「金(会費)・知恵(情報)・汗(労力)」でSEANと関わっていただくよう
よろしくお願いいたします。
2005.12.28 かえこ
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