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   犯罪への道閉ざそう!(no.205)

 昨年10月、姫路市で野宿生活をしていた男性が、火炎瓶の投下によって焼死し、
高校
3年の男子生徒(18)と中学3年生の男子生徒(15)、無職少年2人(ともに16)に
逮捕状が出ました。

 315日の朝日新聞に、教育評論家である尾木直樹さんの話として「『勝ち組、負け組』
という言葉に代表されるように、
経済的豊かさを気にするばかりで、弱者への思いやりが欠如
している社会全体の世相を反映した事件だ。」と掲載されていました。

 中高生や大人たちを対象に、「女(の子)に期待されること」「男(の子)に期待されること」
を考えてもらうワークを実施すると、
どこで実施してもほとんどと言っていいくらい性別役割に
おける
期待の違いが明確に姿を現します。
 男たちに期待されていることとして、「稼ぐ」「妻子を養う」「強く」「負けない」
「泣かない」など、資本主義社会の中で勝ち抜き、
女子どもを守り、戦い抜くための期待が
一貫してあがります。

 それを達成できるものは「勝ち組」となり、そこから脱落していくものは「負け組」と
なる構造が伺え、逮捕されたのが少年たち
であることを考えると、彼らから見れば路上生活者は
「負け組」
であり「男としての存在意義が無い」あるいは、自己と重ね合わせての嫌悪感からの
攻撃なのではないかと感じます。


 少年院に収容される男女比は、ここ数年は91で男子の方が多く収容されています。
昭和
24年〜平成16年の少年鑑別所の新入所人員の推移を見ると、女子の入所数は2千人前後で
どの
年代もほぼ横ばいです。
 しかし、男子の入所数は昭和24年〜40年くらいまでは3万人前後、昭和50年前後の1万人が
最も少なく、ここ数年は2万人弱です。
その変動を見ると社会状況が、男子の加害行動と
大きく連動して
いることが見て取れます。

 ワークの中で「女に期待されること」にたくさんあげられる「思いやり」や「気配り」
「礼儀」などは、「男に期待されること」
にはほとんど上がってこないのに、「泣かないこと」
「強く、負けない
こと」がもっとも多くあげられ、「勝てない」時代背景の中で加害と
自殺などが生み出されているのではないかと思います。

 HPで公開されている2005年版犯罪白書の特集「少年非行」には、「多くの(少年院)教官が
処遇において最も困難になったと
感じていたのは、『人に対する思いやりや人の痛みに対する
理解力
・想像力に欠ける』、『自分の感情をうまくコントロールできない』といった非行少年
の感情・情緒に関連する資質面の問題があった。」
と掲載されています。

 一般的に女子は「泣く」という感情は肯定され、その感情を元に人の痛みに対する理解力と
想像力が育まれます。

「思いやり」や「気遣い」を期待されるあまりに、他者に向けての攻撃ではなく自己への抑圧へ
向かうことが多いようにも感じます。

 男子が「泣く」感情を否定されるということは、悲しみや憤りの感情を自覚し、
それをコントロールすることや、その感情の自覚から他者
の痛みを理解し想像するといった
教育の機会を奪われていると言え
るのではないでしょうか。

 また、「少年院教官調査でも、『対人関係を円滑に結ぶスキルが身に付いていない』、
『周りの誘いを断りきれない』、『心から信頼し
合える関係をもてない』など、
最近の非行少年の交友関係での
不適応感の原因となる問題が多く指摘されていた。
非行少年の中
では、こうした不適応感を積極的に解消するのではなく、人に追従したり、
自らの責任を回避して、不適応感から目を背けようとする
傾向が強まっているように思われる。」
と犯罪白書には記載されて
います。
 「男に期待されること」の期待に応えられるものと、応えられないものが出てくる中では、
当然「強者」と「弱者」が生まれます。
力関係が肯定され、その力関係で成り立っている
構造の中では、
「弱者」は「強者」に追従するしかないのだと思います。
 今回の事件でも、リーダー格の少年がいたと報道されていました。

 園児から大学生まで、様々な年齢層の子どもたちにワークを提供する中で、「男なら泣くな!」
と教え込まれている子どもたちに
たくさん出会います。
 「悲しいときには泣いてもいい、困ったときには弱音を吐いてもいい、誰かの力を借りて
自分の心とからだを守ろう。あなたはかけがえの
無い命をもった大切な存在。
あなたの心とからだを大切にするように、
他の人の心とからだも大切にしてほしい」
 2006年度も、このメッセージを伝えるために、SEAプログラム(人権教育出前授業)を
広めていきたいと思っています。

 詳しくは、SEAN事務局まで、お問い合わせください。

    20063.20 かえこ


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