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人権教育としてのジェンダー・フリー教育の実践を(no.209)

 みなさんは、「人権」という言葉を聞いて、どんな気持ちになりますか?
「暖かい気持ち」「力がわいてくる感じ」ですか?
 それとも「義務」「罪悪感」「差別」「わがまま」「難しそう」そんな重苦しさですか?
 ここのところ、受け持たせていただいている講座で、参加者の皆さんに冒頭に
そんな投げかけをしています。

 約8割の人が後者の感じを、持ってしまっているのが現状です。
そして、私自身もCAP(子どもへの暴力防止)の活動に出会うまでは、
後者のイメージを漠然と持っていたように感じています。

 解放出版社が発行している「知っていますか?人権教育 一問一答」(森 実著)で森さんは、
「人権は、『人間である』ということだけを条件に認められる権利で、これらの権利を
もつための条件として守るべき義務は原則としてありません。
人権にかかわって責任や義務がまず第一に生じるのは国家であり、政府なのです。」と
書いています。(余談ではありますが、憲法や教育基本法改正の流れの中で改めて、
法律は国家や政府のためではなく、個の存在が脅かされないためのお約束事で
あるべきだと訴えたいものです。)

 また、人権教育は、たんなる自己実現や自分探し、心の教育や道徳教育とは
異なる教育であるとも書かれています。
 「すべての人を好きになりましょう」といった「心のもちよう」を教育する心の教育とは違って、
人権教育は「嫌いな人がいるのはやむをえません。
その嫌いな人に対しても、最低限これだけは守りましょう」といった「社会のルール」を
学ぶものであり、「忠誠心を培う」「『目上』の人に対して批判抜きに従う」「自民族を排他的に愛する」
「先祖を敬う」といった道徳教育的なものでもないと書かれています。

 一人ひとりその成育暦や背景・資質などによって考え方も感じ方も違います。
まず、そのありのままを受容した上で、誰もの人権を侵害しない関係を学び、人との関係や
社会を作り変えようとする、SEANが開発したSEAプログラムは、まさに人権教育で
あることをこの本から確信し、改めて自信を持つことができました。

 私たちは誰しも、性別を自分で選んでこの世に生まれてくるわけではありません。
ですから、当然性別を選びなおすこともあって良いはずですし、固定的な性別役割に
押し込められる中で、不利益をこうむったり、差別を受けたり、請け負いきれない過剰な責任を
負わされることはあってはならないのだと思います。

 さまざまな差別が世の中にはありますが、あまりにも広範囲で日常化され、
また文化や伝統という名の下で見えにくくなっているのが、ジェンダーによる不利益と
不公正・差別なのではないでしょうか。
ジェンダーの視点で世の中を読み解けたとき、子どもや障害のある人・高齢者への差別など、
様々な社会構造の中の理不尽がはっきりと実感できたという人は私だけではないと思います。

 私たちは、「人間である」という理由だけで、法の下で人権が守られるべき存在です。
私の人権が侵害されてはいけないように、他の人の人権をも侵害してはいけない
ということをともに学びあうことが人権教育なのだと思います。
 もし、人権教育を受けたことで、「義務」「罪悪感」「わがまま」「難しそう」という感覚を
学んでしまったとしたら、それは本当の意味での人権教育ではないのかもしれません。

 社会的・文化的につくられていくジェンダーは、主に性役割分業の固定化と支配構造の温存です。
それに対して、ジェンダー・フリーとは個人の生き方を尊重し、多様な生き方を共存していくための
方法論だと私は思っています。

 男女共同参画に関する法律や条例・行動計画が策定された今、人権の視点で施策として
実行されるよう今後も活動を続けていこうと思います。

                     2006.6.19 かえこ

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