かえこのちょっと言わせて (no.71)

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「ヒバクシャ 世界の終わりに」を観て(no.71)

 世界の核汚染を描いたこの映画の監督鎌中ひとみさんは、1958年生まれ
で私とほぼ同じ世代の女性です。
 「核汚染に国境など無意味だ」とパンフレットに記された彼女の言葉通り、
湾岸戦争時に使用された劣化ウラン弾によるイラクのヒバクシャ、広島の
ヒバクシャと、長崎に投下された原爆のプルトニウムを製造していたアメリカ、
ワシントン州ハンフォードのヒバクシャたちを国境を超え写し出していきます。
 私にとって驚きだったのは、アメリカにもヒバクシャが数百万単位でいると
いう事実でした。
 「ハンフォード核施設では1942年からマンハッタン計画の一環でプルトニウム
の生産が始まり、1987年まで核弾頭25000発分も量産されその過程で、人体
実験のようにわざと特定の放射線物質が風下で農業を営む人々の頭上に降り
注がれ、その結果ガン、甲状腺障害、奇形児流産が多発した」その事実が、
ヒバクシャを通して語られていきます。
 アメリカ政府はその汚染の事実を認めても、健康被害との因果関係は認めず、
その被害を訴えるヒバクシャたちは地域では「愛国心」の名のもとでののしられ、
孤立し、銀行からも融資をカットされ、また今も汚染されたその土地でじゃがいも
などの農作物が生産され日本などに輸出されている実態が映像として写し出され
ました。
 この映画を見る中で私の脳裏をよぎったのは、戦時下の日本軍による731部隊
での人体実験、危険を承知の上使われた血液製剤による薬害エイズや、慰安婦
という名のもとで行われた集団レイプなどの、権力を握るものによる数々の命や
尊厳の搾取です。その搾取はこの地球上で繰り返し行われ、それでもなんとか
踏ん張って尊厳を取り戻そうとしても、その危険性や事実は認めらないばかりか、
権力側に加担する視点での2次被害が付きまとい、さらに力を無くし孤立していく
構図がはっきり見えたような気がしました。
 「多少の犠牲はやむなし」という犠牲は、常に弱者の上に降り注ぎ、権力に屈し
なければ自分も生きていけない者たちは、権力側の視点に立つことでなんとか
生き延びようとしてしまうのかもしれません。
 今も劣化ウラン弾の危険性を否定したまま使用されてしまうこの時代に、「私たち
が本当に戦わなければならない相手はいったい何なのか?」を今一度考えさせて
くれる映画だと思います。
 自主上映会はあちらこちらで実施されています。私がたくさんの人に観ていただき
たいお薦め映画の1つです。
                  2003.10.2. かえこ



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