『女に期待されること』『男に期待されること』 (no.80)
2003年度ルーセント・テクノロジーIYF 青少年育成基金の助成を受け中学校5校20クラス、
高校3校5クラスでG-Freeプログラムの授業を実施してきました。
1日目の授業では、子どもたちに「女の子だから」「男のくせに」と言われたことを個々に
まず思い出してもらい、その後グループに分かれて『女に期待されること』『男に期待されること』を出し 合い、各グループから発表してもらうワークを行います。
「そんなん言われた事ないからわからへん」といった声から、「こんなこともあんな事も言われる」
といった声まで多様な声が混在するのですが、グループ発表で出てきた言葉を集約してみました。
『女に期待されること』で圧倒的トップは、料理などの「家事」や「結婚」「主婦」「子どもを産む」
「子育て」などの家に関わることで、2番は「言葉使い」「行儀」「身だしなみ」といった礼儀作法に
関することです。
そして、3番に上げられるのは「かわいい」「スタイル」「美白」「顔で決められる」といった『見られる性』
としての期待でした。
少数意見の中には「成績がいい」という現実を表現するものと、「ある程度の頭の悪さ」といった
「女は少し『小ばか』なくらいがうけがいい」ということを実感している声も上げられました。
では『男に期待されること』のトップは何だと思われますか?ほぼ同率にトップに上げられるのは、
「仕事」「稼ぐ」「出世」やそのために「勉強」「優秀な頭脳」といった資本主義社会で勝ち抜く事、
そして「力が強い」「力仕事」「スポーツができる」「たくましい」といった体力的な力に関する事です。
その上に、「泣かない」「くじけない」「怖がらない」「女を守る」ことや「カッコイイ」「背が高い」
「はげてはいけない」などの見かけのこと、そして高校生くらいになると「料理」「風呂洗い」「ゴミだし」 「妻との買い物」なども含まれてきます。
これらの結果は、大人を対象にしたワークでもほぼ同じ内容になることが多いので、
子どもたちは現実を的確にとらえているのではないかと思われます。
これらの言葉を集約しているだけで、生き方を制限される様な過剰な期待で押しつぶされる様な
息苦しさを感じてしまいました。
今の時代、多種多様な期待を背負っているのは、明らかに「男」の方である事を実感する訳ですが、
「女」の方は「できる」といった可能性を拡大するような期待ではなく「してはいけないこと」
「しなければならないこと」の制約が多く含まれている事に気づきます。
先だって大人を対象にした研修で、ある男性が「自分は『男らしくしろ』という言葉から勇気をもらい、
おかげでいろいろなことができるようになった。」とおっしゃっていました。
成育歴の中で自分が大好きな人から『期待』され、それに応えられた時にその人からほめられて、
エンパワーされアイデンティティを確立していく事はとっても大事な事です。
しかし、残念な事に『女らしくしろ』という『期待』は多くの場合「制限」であり、その性別による役割の
すみわけから支配関係や様々な暴力が生み出されていることや、『期待』に応えられない自分に
「ダメな奴」のレッテルをはり自尊感情を低くしてしまう人もたくさんいるといった事実に目を向ける
必要があります。
「もうすでに男女平等は進んでいる」と思われる方が結構たくさんおられますが、子どもたちの
現実は昔とちっとも変わらないというのが私の率直な感想です。
今年度のこの取り組みから見えてきたことについては、このコラムでも少しずつみなさんに
ご報告させていただきますが、報告書の発行や報告会も予定しています。
随時告示しますのでぜひご購入・ご参加いただければと思います。
2004.2.16 かえこ
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