男女混合名簿と「さん」「くん」付け(no.81)
今年度いただいた助成金の関係やご紹介で、いろいろな学校等で教員研修をさせて
いただいています。そこでよく話題に上るのは男女混合名簿の事です。
「是非導入したいけど理解を得るのが難しい」「男女分けている方が何かと便利」
「どっちでも良い事になぜそこまで向きになる」などなど。
いろいろな意見が飛び交い混乱が生じている時に、私はこんなお話をさせていただきます。
「助成金の枠で今年度、高槻周辺の自治体の教育委員会にも、男女共同参画に
関する取り組みについての調査を行っています。
ある自治体の議会で議員から、男女混合名簿導入を懸念する意見が出された事で、
指導課の職員の方がこんなお話をされました。『「男女混合名簿」って結局のところ、
「あいうえお名簿」ですよね。「男女混合」なんて名前を使っていること自体、今回いろいろ
考えてみてまだまだなんだとわかりましたよ』
なるほど、本当にそうですよね。病院のカルテや様々な機関の名簿はどうなっているんでしょうか?
基本はあいうえお名簿で、必要があれば男女別名簿も作ったらいいんじゃないでしょうか」
今までと違うものを導入する時、違和感が生じる事は当然の事。ただ、その抵抗そのものが
ジェンダーバイアス(社会的・文化的に作られる性差による先入観・固定観念・偏見)なのでは
ないかと疑う必要があります。「例外的(選択的)夫婦別姓制度」導入が、ここまで難航する
理由もまたしかりなのだと思っています。
また、私たちは子どもたちの授業に入る時、できるだけ女の子も男の子も「ちゃん」「さん」で
呼ぶようにしています。(但し、最近は呼んで欲しい名前を名札に書いてもらうようにしているので、
「ちゃん」「さん」「さま」など多様な呼び方で呼んではいますが…)
日頃「くん」で呼ばれている男の子は、「さん」付けで呼ぶと抵抗を示す事がよくあります。
大人社会では女も男も「さん」付けで呼ぶにもかかわらずです。「女みたいに呼ぶな!」それが
彼らの言い分です。女の子が「男っぽい」と言われる事と、男の子が「女っぽい」と言われる事には
大きな意味の違いがあります。
昨年度中学2年生を対象に実施したアンケート調査でも、「『女みたい』と言われるより
『男らしくしろ』と言われる方がまし」という男の子の記述がありました。
それらの抵抗の裏に隠れている意識は、「男は女よりも優れている」「女扱いは見下される事」
という意識です。問題なのは、名前に「さん」「くん」をつけるかつけないかではなく、それにこだわる
背景にある差別意識です。
「男らしくない男」を、「女々しい」「女が腐ったような奴」という表現をしてしまう程、無意識のうちに
男が上で女が下という構図は刷り込まれてしまっています。 それが今日のDV問題と直結している事は事実でしょう。
前回、今スーパンマンのようにオールマイティを期待されているのは、男の子の方であると書きました。
最近ふと江戸時代の士農工商制度とジェンダーの支配構造が私の頭の中でリンクする事があります。
男たちが自らの命を投げ出して「戦う」ために、オールマイティの期待を根性で乗り切るために、
女よりも優れていると思い込まされるような構造が、この社会の中に存在しているのかもしれません。
「性別」ありきではなく「個」ありきで、「女」「男」だからではなく誰もの尊厳が守られる社会を
目指すために、少しずつ混乱を解きほぐしていければと思います。
2月29日 かえこ
(明日(3月1日)が誕生日です。タイムリミットが迫っている仕事を
いくつか抱えている私に、どなたか優しいお言葉を!)
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