かえこのちょっと言わせて (no.88)

ジェンダーってなぁに?
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  ジェンダー・フリーにとらわれる!?

 ある集まりで「『ジェンダー・フリー』は大嫌いです!」とおっしゃった女性から、
皇學館大學助教授の新田均という人が書いた「『男女共同参画社会』運動の正体」
というコピーをいただきました。

「『男女共同参画』や『ジェンダー・フリー』というのは、フェミニズムに基づく過激な文化破壊思想
なのである。(中略)(ジェンダー・フリーとは、)@男女を区別すること(ジェンダー)が、そもそも
男性を主として女性を従とする差別意識であるとみなして、男女の区別そのものを否定する。
A婚姻制度や家族制度を『性交渉の自由』という根源的自由を拘束するものだと否定する。」
「フェミニズムなどの過激思想によって社会が大きく歪められた結果、離婚の増加に伴って
少年非行・犯罪、家庭内暴力、児童虐待が増加するという先進国共通の病理がある。」

 このコピーを下さった方が、『ジェンダー・フリー』なるものを大嫌いになる理由がB4用紙3枚に
書かれており、新田均さんの文体からは「フェミニズム」や「ジェンダー・フリー」に対しての憎悪を
感じました。
 『ジェンダー・フリー』という概念は、生物学的性差を否定するものではないし、『性交渉の自由』化を
目指すものでもありません。ましてや、今日起こっている様々な暴力は行き過ぎた性役割の
とらわれから生まれていることで、そのとらわれから解放されることこそがそれらの問題を
予防する手立てであることを、日々の活動を通して実感しています。

 また、中高校生や大人を対象にした講座終了後の感想で少数ではありますが、「ジェンダー・フリーに
とらわれすぎることはよくない」というコメントを頂くこともあります。
 ジェンダー・フリーとは社会的・文化的につくられる性差から解放されることです。
「解放される」ということは、どういうことでしょうか?セクシュアル・マイノリティの人たちを除外した
「女」「男」といった性の2分化を基本とし、男たちは資本主義社会で勝抜くことや弱音をはかないことを、
女たちはその男たちを支えることを期待されているのが、今のこの国の社会的・文化的につくられた
ジェンダーです。そのジェンダー社会は、多数者・強者の視点で成り立っており、故に権力構造を
作り出してしまう要素があるのかもしれません。
 「解放される」ということは、そういった価値観で型にはめられることなく、自己や他者のありのままを
認め合い共存していくという考え方です。ですから、ジェンダー・フリーとは少数者・弱者の視点に立つこと
だと私は思っています。
 本来、個が持つジェンダー・アイデンティティは多様なはずです。個のありようは他者の人権を侵害する
ものでない限り、尊重されるべきです。アイデンティティは、子ども期に性別による「あるべき姿」として
大人社会から学ぶことなので、その「あるべき姿」が「〜でなければならない」という抑圧となった時に、
自己や他者への否定、偏見・差別となり、そこから権力構造を生み出し、その力関係の中で暴力が
生まれる場合もあります。
 また、「ジェンダー・フリーにとらわれすぎること」すなわち、「解放されすぎること」はよくないということは、
常識を超えるというイメージがあるのかもしれません。では、「常識」とはなにか?ある国では「常識」と
されることが、ある国では「非常識」な場合もあります。そこに共存するものの多数者が、その「常識」を
決めているのかもしれません。
 「ある程度の規範は必要だ」という意見も聞きますが、その規範とは結局のところ多数者の視点で
作られていることが多く、自分の人生は自分で決め、その責任は誰にも転嫁せず自分で引き受けていくこと、その規範さえあれば、性別による規範など重要なことではないと思います。
 もちろん、解放された上で今の社会のジェンダーと自分のジェンダー・アイデンティティが一致することも
ありうることですし、多様な生き方を侵害することなく、対等な関係性を構築する視点があれば、
それはそれとして人がとやかく言うことでもないと思います。
                                              2004.6.18 かえこ



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