今回の取り組みの背景と目的

 NPO 法人SEAN では、2003 年と2005 年に「絵本」をジェンダーの視点で調査分析し、報告書を発 行しました。「絵本」という媒体は、基本的には子どもの成長を願って作られているということもあって、 批判的に読み解くことそのものが難しいという題材でした。しかし、ジェンダーの視点でまとまった冊数 を読み解けば、性役割に関する様々な偏りが見えてきました。「絵本」の中に潜むジェンダーを読み解いた 目でまちにあふれるマンガ誌や情報誌を見ると、一目瞭然で露骨なジェンダー表現が目につき、子どもた ちへのその影響力が気になり始めました。

 子どもたちが「主体的」に購読するその媒体の刷り込みに対し、社会的には危機感や違和感はほとんどな く、そればかりか消費経済においてより過激に、そして低年齢化に拍車がかかっているのが現状です。そ の上、携帯やインターネットの急激な普及により、「性」に関する情報量や暴力性はわたしたち大人が想像 する以上に子どもたちの手に届くところまで普及しています。

 その現状把握の遅れなのか、性教育そのものを「過激」ととらえ、子どもたちに偏った性情報や暴力から 身を守るために行われている性教育さえも攻撃し、取り組ませないといった政治的な流れが生まれてきて おり、強い危機感をもっています。

 また、望まない妊娠や・性感染症・差別・DV・性暴力・不適切なダイエットなど、「性」にかかわる様々 な問題が後を絶ちません。SEAN では子どもを対象に人権教育プログラムを出前授業で実施しています。 しかし、出前授業で出会う子どもたちの意識から、その暴力を容認しあるいは誘発する「性」・「セクシュ アリティ」に関する固定観念を感じることがあります。たとえ、家庭教育や学校教育の場で、ある程度ジェ ンダー平等教育が取り組まれていたとしても、子どもたちにはいつのまにかジェンダーが再生産されてし まっているのが現状のような気がします。

 それらのことを踏まえ、まず子どもたちの「性」に関する意識や情報源を調査し、今回実際に読まれてい るマンガ誌や情報誌の内容分析をこころみました。この報告書は、そこから子どもたちに必要な教育につ いてみなさんと考えていくことを目的として発行いたしました。


NPO法人SEAN 代表 遠矢 家永子